子どもの権利

更新日:2021年03月24日

子どもの権利条約(正式名称 児童の権利に関する条約)とは

「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」は、基本的人権が子どもの保障されるべきことを国際的に定めた条約です。平成元年(1989年)11月20日に国連総会において採択され、平成2年(1990年)に国際条約として発効されました。日本は、平成6年(1994年)に条約を批准しました。

この条約は、大正13年(1924年)の「子どもの権利に関するジュネーブ宣言」、昭和34年(1959年)の「子どもの権利宣言」を受けて成立しました。前文と本文54条からなり、生存、保護、発達、参加という包括的権利を子どもに保障するものです。

「八王子市子どもすこやか宣言」と「子どもの権利条約」

「未来を担う子どもたちがみんな幸せに、そして責任ある大人になってもらいたい。」「自然がたくさんある八王子でいきいきと生活し、自分の可能性を伸ばして欲しい。」「まわりの人と信頼しあえる関係を大切にし、健康で個性豊かに成長して欲しい。」というのは、私たちの共通の願いです。

この願いを明文化し世界中の子どもが持っている権利を守る規範として、国連では「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」が平成元年(1989年)に採択され、日本も平成6年(1994年)にこれを批准しました。

ここでいう権利とは「人権(human right)」のことであり、人間としての尊厳をもつ社会の一員として扱われるべきであるという意味です。 しかし、虐待やいじめなどつらいおもいをしている子どもたちのニュースが、毎日のように私たちのもとに届くのも現実です。今の社会が、そして八王子市が「子ども」たちが育つ環境として最高のものでしょうか。また、家庭、学校や地域で、子どもたちは「子どもの権利条約」に掲げられた権利が守られているのでしょうか。

八王子市では「子どもの権利条約」(「児童の権利に関する条約」)の考え方を取り入れながら、平成13年2月に「八王子市子どもすこやか宣言」を行いました。

「子どもの権利」とはどんなもの

条約では、子どものとっていちばんいいことは何かを考えなければならない、と言っています。そして子どもの権利は大きく次の4つのグループに分けられ、これを守るよう定めています。(日本ユニセフ協会 子どもの権利条約カードブックより)

  1. 生きる権利
    防げる病気などで、命を失わないこと。病気やけがをしたら治療を受けられること。
  2. 育つ権利
    教育を受けたり、休んだり遊んだりできること。考えを信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができること。
  3. 守られる権利
    あらゆる種類の虐待や搾取などから守られること。障害のある子どもや少数民族の子どもなどは特別に守られること。
  4. 参加する権利 自由に意見を表したり、集まってグループを作ったり、自由な活動を行ったりできること。

ただ、子どもたちが「自分が欲しいから、やりたいから」要求するのは、「権利」ではありません。自分が生活するうえで、本当に必要なもの、大切なものを要求することが「権利」です。

ここで簡単な質問です。次のうちのどれが「権利」といえるものでしょうか。

  1. ゲームを買うこと
  2. 自分の部屋をもつこと
  3. きれいな洋服を着ること
  4. 病気やケガを治すこと
  5. きれいな空気を吸ったり、水を飲めること
  6. お菓子を食べること
  7. 自分の考えを聞いてもらえること

正解は、4・5・7です。

条約の全文をご覧になりたい方は下記のアドレスから外務省のページをご覧下さい。

子どもの権利条約のキーワード

「子どもの最善の利益」(子どもの権利条約第3条の1)

「あなたのためなんだから、これをやりなさい。我慢しなさい。」

大人がラクをするための要求を子どもにしていませんか?。「子どもの権利」というと、日本では「わがまま」を連想してしまうのか、抵抗を感じる方も多いようです。しかしこの権利は「人権(human right)」をさすもの。大人としては、子どもの正当な要求であるのに「わがまま」と扱ってしまうことがないか、たえず考えることが必要です。

「意見表明権」(子どもの権利条約第12条の1)

「子どもの意見をきけばいいんでしょ」

形式的に子どもの意見を聴けばいいということではありません。子どもと大人がパートナーとして、様々なことを取り組む第一歩として、子どもの意見に共感し、子どもの年齢に応じた大人の対応が求められているのです。

「こうすればいいんだよ。」と結論だけを教えることは、大人がラクをしたいだけかも。子どもは自分の意見をきいてもらい、理解されているという体験を積むことによって、自信と相手に対する思いやりが芽生えてくるのではないでしょうか。

わたしたちは「子どもの参加」をめざします

「子どもの参加」と「子どもの権利条約」

「子どもの参加」とは、子どもたちが自らの可能性を広げていく場、学校や家庭や遊びの中で蓄えた生きる力を試せる場を、子どもたちに提供していこうという考え方です。

こうした「場」を確保するのが「子どもの権利条約」なのです。社会参加は子どもたちの自己実現にもつながります。子どもが自分の力を信じ、自分に対する肯定的な気持ちをもてるよう、大人は子どもを社会の中で受け入れる姿勢が必要と考えます。

「子どもの参加」という考え方は、「子どもの考えを聞くことはいいことだ」という、単に子どもの考えを認めることではありません。子どもに意見を聴き、子どもの視点を真剣に取り上げ、子どもにとっての有意義な参加を忍耐強く継続して手助けするのは大人の責務です。そのために「子どもの権利条約の考え方を基盤としたアプローチ」が必要になります。

しかし、いくら企画段階から子どもに参加してもらおうとしても、現実には子どもに関わってもらうこと自体が難しく、課題となっています。 「人との関わりを避けたい。面倒くさい。目立ちたくない。だから、動くのは嫌だ。」そんな子どもたちが多いのも現実です。

これは、私たち大人も思い当たることが多いのではないでしょうか。大人が積極的に、子どもと関わり、忍耐強く子どもの取り組む過程を見守りたい。

そのためには、なにより私たち大人が、変わらなくてはなりません。まず大人も「参加」してみることが、責務を果たす第一歩になるのではないでしょうか

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